中小企業のためのGemini・NotebookLM入門(7)— 二つを連携させ、Deep Researchで調べを深める
GeminiとNotebookLMは、別々に使うだけでなく、つなげて使える。自社資料を読み込ませたNotebookLMを、Geminiから参照する。Web上の膨大な情報を、Deep Researchが自動で調べてレポートにする。この二つを組み合わせると、「調べて、整理して、形にする」が一気通貫になる。
連載第七回は、GeminiとNotebookLMの連携と、調べものを自動化するDeep Researchを取り上げる。本記事は執筆時点(2026年6月)の内容として読んでほしい。機能の提供範囲は段階的に広がるため、自社で何が使えるかは公式で確認してほしい。
二つを「つなげる」という発想
ここまで、Geminiは「ふだんの作業を助ける万能アシスタント」、NotebookLMは「自社資料を深く読んで答える専用ツール」として紹介してきた。
この二つは、役割が違うからこそ、組み合わせると強い。NotebookLMで自社の知識を整理し、Geminiでそれを使って文章を作る。あるいは、Web上の情報を調べてNotebookLMに蓄積し、Geminiで分析する。それぞれの得意を、リレーのようにつなげられる。
Googleも、この連携を後押しする機能を出している。2026年1月、GeminiのアプリからNotebookLMのノートブックを「参照元(ソース)」として指定できる機能が公式に提供開始された。当初は個人向けで提供され、その後、企業向けや教育向けのユーザーにも拡大した。
この連携が生まれた背景には、利用者の長年の不満があった。これまでNotebookLMには、ノートブックが一つひとつ独立していて、複数のノートブックを横断して検索できない、という弱点があった。営業の知識はこのノート、製造の知識はあのノート、と分かれていると、両方にまたがる質問ができなかったのだ。Geminiから複数のノートブックを参照できるようになったことで、この弱点が補われた。
NotebookLMを、Geminiの「知識の土台」にする
この連携が、実務で何を変えるのか。
これまでは、「情報の整理はNotebookLM」「文章作成はGemini」と、別々のツールとして使い分けるしかなかった。NotebookLMで資料を読み込んで答えを得て、それをコピーしてGeminiに渡して文章を作る、という往復が要った。
連携機能を使えば、Geminiのアプリの中で、NotebookLMに読み込ませた資料を土台にできる。たとえば、過去の提案書をすべてNotebookLMに読み込ませておく。そのノートブックをGeminiから参照すれば、「この過去の提案書を踏まえて、新しい提案のたたき台を作って」といった指示が、ひとつの流れでできる。
公式の案内によれば、ノートブックの内容をもとに、Geminiのさまざまな機能を組み合わせて使える、とされている。自社固有の知識を土台にしながら、Geminiの高い文章作成能力を使う。この合わせ技が、ワンストップで実現する。
複数のノートブックをまたいで質問できる、という使い方も紹介されている。「製品の調査ノートと、市場動向のノートをもとに、この製品の強みは何か」といった具合に、複数の知識ベースを横断して答えを得られる。Geminiには最新情報を調べる機能もあるため、ノートブックにない情報を補ってもらうこともできる。
Deep Researchとは
連携と並んで知っておきたいのが、Deep Research(ディープリサーチ)という機能だ。
これは、Web上の膨大な情報を、AIが自動で調べてレポートにまとめてくれる機能だ。従来のWeb検索とは、まったく手間が違う。
ふつうのWeb検索では、自分でキーワードを入れ、いくつものサイトを開いて、情報を拾い集める。これには数時間、ときには数日かかる。Deep Researchは、調べたいテーマを伝えるだけでいい。AIが自動で調査の計画を立て、Web上の多数の情報源を横断的に調べ、整理されたレポートを作ってくれる。これが、数分から十数分で終わる、と案内されている。
Deep Researchは、Geminiの機能として提供されているほか、NotebookLMにも搭載された。NotebookLMのDeep Researchでは、複雑なオンライン調査を自動化し、レポートと情報源を生成する、とされている。この機能は、もともと有料の上位プランで提供され始めたが、無料のユーザーにも提供される予定だ、と案内されている。自社で使える範囲は、契約プランと提供状況によるため、公式で確認してほしい。
Deep Researchは、こう使う
中小企業での使い道を考えてみよう。
ひとつは、市場や競合の調査だ。「この地域の、この業種の市場動向を調べて」「競合になりそうな会社の動きを整理して」と頼めば、Web上の情報をもとにしたレポートが返ってくる。一から自分で調べる手間が、大きく減る。
ふたつめは、新規事業や新商品の検討の下調べだ。新しい取り組みを考えるとき、関連する情報を幅広く集めるのに使える。集めた情報をもとに、前回までに書いた壁打ちにつなげれば、検討の質が上がる。
3つ目は、業界の最新動向の把握だ。自社が属する業界の新しい動きや、関連する制度の変化などを、定期的に調べる用途にも使える。
NotebookLMのDeep Researchでは、調べた結果のレポートと、その情報源を、そのままノートブックに取り込める。取り込んだ情報源は、その後の質問や音声概要にも使えるようになる。「調べる」と「蓄積する」が、ひとつの流れでつながるわけだ。
なお、NotebookLMが扱える資料の形式も広がっている。従来のPDFやGoogleドキュメントに加え、Word文書、スプレッドシート、画像なども資料として追加できるようになった。手元にあるさまざまな形式の資料を、そのまま読み込ませやすくなっている。
「調べて、整理して、形にする」を一気通貫に
連携とDeep Researchを組み合わせると、仕事の流れそのものが変わる。
たとえば、新しい企画を立てる場面を考えてみよう。まず、Deep Researchで関連する市場の情報を調べ、レポートにする。それをNotebookLMに蓄積し、自社の過去の資料と合わせて読み込ませる。そのノートブックをGeminiから参照し、企画書のたたき台を作る。
これまでなら、調べるのに数日、資料を整理するのに数時間、文章にまとめるのにまた数時間かかっていた作業が、一連の流れとして、はるかに短い時間でこなせる。
もちろん、最終的な企画の中身や判断は、人がするものだ。だが、その手前の「調べて、整理して、形にする」という、時間ばかりかかっていた準備作業を、AIが大きく肩代わりしてくれる。経営者や社員は、考えることそのものに、より多くの時間を使える。
中小企業にとっての、現実的な意味
この一気通貫の流れは、人手の限られた中小企業ほど効く。
大企業には、調査を専門にする部署や、資料をまとめる担当者がいる。だが中小企業では、社長や少人数の社員が、調べることも、まとめることも、判断することも、すべて自分でこなさなければならない。だからこそ、準備作業に時間を取られると、肝心の「考える」「決める」に割く時間がなくなる。
GeminiとNotebookLMの連携、そしてDeep Researchは、この構造的な弱点を補う。これまで人手をかけられなかった調査や整理を、AIが肩代わりする。その結果、少人数の会社でも、しっかり調べたうえで判断する、という大企業並みの動き方ができるようになる。
派手な機能に見えるかもしれないが、本質はここにある。限られた人手で、考えるべきことに集中できる環境を作る——それが、連携機能の中小企業にとっての意味だ。
注意したいこと
強力な機能だが、注意点もある。
第一に、Deep Researchの結果は、必ず確認する。AIがWeb上の情報を集めてくるとはいえ、その情報源が正確とは限らない。誤った情報や、古い情報が混じる可能性がある。レポートを鵜呑みにせず、重要な点は情報源を確かめる。とくに数字や事実は、慎重に扱いたい。
第二に、連携機能で扱う情報の管理だ。NotebookLMをGeminiから参照する場合、どの資料が、どういう扱いになるかは、使うプランや環境によって異なる。連携時に適用されるポリシーや、対象となる認証の範囲には注意が要る、とも指摘されている。機密性の高い資料を扱うなら、自社の情報管理ルールと、各機能の条件を確認してほしい。データの扱いは次回詳しく取り上げる。
第三に、機能の提供範囲と名称は変わりやすい。連携機能もDeep Researchも、提供対象や仕様が段階的に変わっている。本記事の内容は執筆時点のものなので、実際に使うときは公式の案内を確認してほしい。
よくある質問
Q. GeminiとNotebookLMの連携は、誰でも使えますか。
A. 2026年1月にGeminiアプリからNotebookLMを参照する機能が提供開始され、個人向けに先行提供されたのち、企業向けや教育向けにも拡大した。提供範囲は段階的に広がるため、自社の環境で使えるかは公式で確認してほしい。
Q. Deep Researchと、ふつうのWeb検索は何が違いますか。
A. ふつうの検索は、自分でキーワードを入れ、サイトを開いて情報を集める。Deep Researchは、テーマを伝えるだけで、AIが調査計画を立て、多数の情報源を横断して調べ、レポートにまとめてくれる。手間と時間が大きく違う。
Q. Deep Researchのレポートは、そのまま使えますか。
A. たたき台としては有用だが、そのまま使うのは避けたい。情報源が正確とは限らず、誤りや古い情報が混じる可能性がある。重要な点は情報源を確認し、自社の責任で内容を確かめてから使ってほしい。
Q. 連携を使うと、Geminiが自社資料を勝手に学習しますか。
A. 法人向けのWorkspaceでは、入力が学習に使われない扱いとされている。ただし連携時に適用される条件は、プランや環境によって異なる面があるため、機密資料を扱うなら公式の案内を確認するのが確実だ。
Q. Deep Researchは、中小企業のどんな場面で役立ちますか。
A. 市場や競合の調査、新規事業や新商品の下調べ、業界の最新動向の把握などに役立つ。これまで人手をかけられず、後回しにしていた調査を、AIが肩代わりしてくれる。少人数の会社ほど、調査に割く人手がないため、恩恵が大きい。ただし、調べた結果は必ず情報源を確認し、判断材料として使うことが前提だ。
まとめ
GeminiとNotebookLMは、つなげて使うと強い。2026年に提供された連携機能で、NotebookLMに読み込ませた自社資料を、Geminiの土台にできる。複数のノートブックを横断した質問もできる。Deep Researchは、Web上の膨大な情報を自動で調べてレポートにし、NotebookLMに蓄積もできる。これらを組み合わせれば、「調べて、整理して、形にする」が一気通貫になる。ただし、調査結果は必ず確認し、連携時の情報の扱いと認証範囲に注意し、機能の提供範囲は公式で確認する。
時間ばかりかかっていた準備作業をAIが肩代わりし、人は考えることに集中できる。これが、二つを連携させる最大の価値だ。
次回は、ここまで触れてきた料金とプランを、中小企業の視点で整理する。何にいくらかかり、どう選べばいいかを掘り下げる。
GeminiやNotebookLMの導入を、現場の隣で一緒に考えてほしい経営者の方は、トレジャーフットAIに一度声をかけてみてほしい。
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