中小企業のためのGemini・NotebookLM入門(3)— 会議の議事録と、数字の整理をGeminiに任せる

会議のたびに誰かが議事録を書き、数字の集計に半日が消える。この二つの地味な負担を、Geminiは大きく軽くする。Google Meetの会議は自動で要約され、スプレッドシートのデータは言葉での指示で整理できる。

連載第三回は、前回に続いてGeminiのWorkspace活用、なかでもGoogle Meetの議事録づくりと、スプレッドシートでのデータ活用を掘り下げる。いずれの機能も、使えるかどうかは契約プランによって異なる。自社で何が使えるかは公式で確認してほしい。本記事は執筆時点(2026年6月)の内容だ。

議事録という、地味で重い仕事

会議の議事録づくりは、多くの会社で「誰かがやらなければならない、面倒な仕事」だ。

会議中に必死でメモを取れば、議論に集中できない。あとからまとめようとすれば、記憶が薄れて時間がかかる。録音を聞き返すのは、会議そのものと同じだけの時間がかかる。結果、議事録は後回しになり、「言った言わない」のトラブルの種になる。

中小企業では、専任の書記がいないことがほとんどだ。社長や担当者が、本来の仕事の合間に議事録を書いている。この負担は、地味だが確実に効いている。

そもそも議事録が厄介なのは、「二重の集中」を要求するからだ。会議で議論を理解しながら、同時にそれを文章として記録する。議論に集中すればメモが薄くなり、記録に集中すれば議論についていけなくなる。だから記録は会議のあとに回され、時間が経つほど記憶は薄れ、まとめるのに余計な時間がかかる。こうして議事録は、重要だとわかっているのに後回しにされ続ける仕事になる。

GeminiをGoogle Meetと組み合わせると、この負担が大きく変わる。

Google Meetでの議事録・要約

Google Meetには、Geminiによる会議の記録・要約の機能が用意されている。

会議中の発言を文字に起こし、終わったあとに要点を要約してくれる。誰が何を言ったか、何が決まったか、次に誰が何をするのか。こうした要素を、自動で整理してくれる。会議に出ていた人は議論に集中でき、出られなかった人は要約を読めば追いつける。

日本語の会議にも対応している、と案内されている。日常的なビジネス会議の議事録づくりには十分な精度がある、という評価がある一方で、専門用語の多い分野(医療・法律・金融など)や、複数の言語が混じる会議では精度が落ちる場合がある、とも指摘されている。重要な会議では、自動生成された要約を必ず人がレビューすることが大切だ。

この機能が効くのは、定例会議や、社内の打ち合わせだ。毎回誰かが議事録を書いていた手間が消え、その時間を本来の仕事に回せる。

議事録を、次の仕事につなげる

議事録は、作って終わりではない。次の行動につなげてこそ意味がある。

Geminiで会議を要約したら、その内容をもとに、さらに踏み込んだ使い方ができる。たとえば、要約をGoogleドキュメントに整理し直す。決定事項からタスクリストを作る。会議で出た論点について、関係者に共有するメールの下書きを作る——こうした「会議のあとの作業」も、続けて頼める。

会議をして、議事録を書いて、タスクを整理して、関係者に共有する。この一連の流れが、Geminiを軸にすると、ぐっと短くなる。

たとえば、こんな流れを思い浮かべてほしい。営業会議が終わると、Geminiが要約を作る。その要約から「今週、誰が何をするか」のタスクリストを作らせる。それを各担当者に共有するメールの下書きまで作らせる。会議が終わってから関係者への共有が完了するまで、これまで半日かかっていたものが、わずかな時間で済む。担当者は、会議の直後に「自分は何をすればいいか」が手元に届く。動き出しが早くなる。

こうした「会議のあと」の手間は、目立たないが確実に時間を食っていた。Geminiは、会議そのものの記録だけでなく、その後の段取りまで含めて軽くしてくれる。

スプレッドシートでの数字の整理

数字を扱う仕事も、中小企業の経営者には避けられない。売上の集計、経費の整理、在庫の管理、顧客リストの整理。スプレッドシートでこうした作業をしている会社は多い。

Geminiは、スプレッドシートの中でもデータの整理を助けてくれる。複雑な関数を覚えていなくても、やりたいことを自然な言葉で伝えれば、補助してくれる場面がある。

たとえば、「この表を月ごとに集計したい」「この列のデータを種類別に分けたい」「売上の多い順に並べ替えたい」といった指示だ。表計算が苦手な人でも、言葉で頼めば作業が進む。

データから簡単な表を作る、傾向を整理する、といった使い方もできる。数字をただ眺めるのではなく、AIに整理させて、そこから経営判断につなげる、という流れが作りやすくなる。

ただし、数字の扱いには特に注意が要る。Geminiが整理した集計結果も、計算の前提や元データに誤りがあれば、間違った結果になる。重要な数字は、必ず元データと照らして確認したい。経営判断に関わる数字を、確認なしにAIの出力だけで決めるのは危うい。

スプレッドシートを「壁打ち」にも使う

数字を整理したあと、その意味を考える段階でも、Geminiは役立つ。

「この売上データから読み取れる傾向は」「この経費の中で、削減できそうな項目は」といった問いを投げれば、データをもとにした視点を返してくれる。もちろん、最終的な判断は経営者がするものだが、数字を前にした思考の整理を手伝ってもらえる。

前回のClaudeの連載で書いた「壁打ち」の発想は、Geminiでも、しかもデータを見ながら使える。数字と対話しながら考える、という使い方だ。

定例会議での、具体的な使い道

議事録の活用を、もう少し具体的に見てみよう。中小企業でよくある会議の場面に当てはめてみる。

毎週の営業会議。これまでは、誰かが議論を聞きながらメモを取り、あとでまとめていた。Geminiで会議を記録・要約すれば、参加者全員が議論に集中でき、終わったあとに「決まったこと」「保留になったこと」「次回までに誰が何をするか」が整理された形で残る。

月次の経営会議。各部門からの報告が飛び交い、論点が多い。要約があれば、欠席した人も短時間で追いつけるし、後から「あの数字はどうだったか」を振り返るときの手がかりになる。

取引先との打ち合わせ。これは社外の人が入るので記録の了解が要るが、了解が得られれば、口頭で決めた内容を要約として残せる。「言った言わない」を防ぐうえで、これは大きい。

こうした会議は、毎週・毎月くり返される。一回あたりの議事録づくりは小さくても、年間で見れば相当な時間だ。その積み重ねが軽くなる効果は、見た目以上に大きい。

数字を整理する、具体的な指示例

スプレッドシートでの使い方も、具体的な指示で見てみよう。

たとえば、月別・商品別の売上が並んだ表があるとする。これを整理したいとき、こう頼める。

この表について教えてください。
・商品ごとの年間合計を出したい
・売上の多い順に並べたい
・前年と比べて伸びた商品、落ちた商品を整理したい

表計算の関数を覚えていなくても、やりたいことを言葉で伝えれば、作業の補助をしてくれる。そのうえで、「この結果から読み取れる傾向は」と聞けば、数字をもとにした視点も返ってくる。

ただし、繰り返しになるが、出てきた集計や分析は、元データと照らして必ず確認する。AIの計算や整理にも誤りは起こりうる。経営判断に関わる数字ほど、人の目での確認を省かないことが大切だ。

会議と数字の活用で、変わること

議事録と数字の整理は、どちらも「やらなければならないが、時間を食う」種類の仕事だ。

Geminiでこの二つが軽くなると、経営者と社員の時間の使い方が変わる。会議では議論そのものに集中でき、記録は任せられる。数字は、集計に時間を取られず、その意味を考えることに時間を使える。

派手な変化ではないが、毎週・毎月くり返されるこうした作業が軽くなる効果は、積み重なると大きい。前回のClaudeの連載でも書いたように、中小企業のAI活用は、こうした地道な時間の積み重ねを変えていくことに本質がある。

注意したいこと

便利な機能だが、いくつか心に留めておきたい。

第一に、会議の記録には参加者への配慮が要る。会議を記録・要約する場合、参加者にその旨を伝えるのが筋だ。取引先との会議など、社外の人が参加する場では、記録することへの了解を得ておきたい。

第二に、要約や集計は必ず確認する。とくに重要な会議の決定事項や、経営判断に関わる数字は、自動生成されたものを鵜呑みにせず、人が確かめる。

第三に、機密性の高い情報の扱いだ。会議の内容や数字データには、社外秘の情報が含まれることが多い。法人向けのWorkspaceでは入力が学習に使われない扱いとされているが、自社のルールに沿った運用を心がけたい。

第四に、使える機能はプランと環境による。Google Meetの記録・要約機能や、スプレッドシートでのGemini機能は、契約プランによって使える範囲が異なる。自社で何が使えるかは公式で確認してほしい。

よくある質問

Q. 会議の文字起こしは、どれくらい正確ですか。
A. 日常的なビジネス会議では十分な精度がある、という評価がある。ただし専門用語が多い分野や、複数言語が混じる会議では精度が落ちる場合がある、と指摘されている。重要な会議では、自動生成された要約を人がレビューすることが前提だ。

Q. 録音せずに議事録だけ作れますか。
A. 機能の挙動はプランや設定によるため、自社の環境で何ができるかを確認してほしい。一般には、会議の記録機能を有効にすることで、要約が生成される形になっている。

Q. 表計算が全くわからなくても使えますか。
A. やりたいことを自然な言葉で伝えれば補助してくれる場面がある。複雑な関数を覚えていなくても作業を進めやすい。ただし、出てきた結果は元データと照らして確認することが大切だ。

Q. 議事録の内容を、別の用途に使えますか。
A. 使える。要約をドキュメントに整理する、タスクリストを作る、関係者への共有メールの下書きを作るなど、会議のあとの作業を続けて頼める。会議から共有までの流れを短くできる。

Q. 議事録づくりで、いちばん効果が出やすい会議はどれですか。
A. 毎週・毎月くり返される定例会議だ。一回あたりの議事録づくりは小さくても、年間で積み上がると相当な時間になる。くり返しの頻度が高い会議ほど、自動化の効果が積み重なって大きくなる。まずは社内の定例会議から試すとよい。

Q. 数字の分析を、経営判断にそのまま使っても大丈夫ですか。
A. そのまま使うのは避けたい。Geminiの集計や分析は、計算の前提や元データに誤りがあれば、間違った結果になる。判断材料として参考にするのはよいが、重要な数字は必ず元データと照らして確認し、最終判断は人が下してほしい。これは前回のClaudeの連載で書いた「整理は材料、決断は人」という考え方と同じだ。

まとめ

議事録づくりと数字の整理は、地味だが時間を食う仕事だ。Geminiは、Google Meetの会議を文字に起こして要約し、決定事項やタスクを整理してくれる。スプレッドシートでは、複雑な関数を覚えなくても、言葉での指示でデータの整理や並べ替えができ、数字を見ながらの壁打ちにも使える。会議のあとの共有作業まで続けて頼めるのも強みだ。ただし、会議記録には参加者への配慮を、要約や集計には人による確認を欠かさず、機密情報は自社ルールに沿って扱う。

会議では議論に集中し、数字ではその意味を考える。Geminiが地味な作業を引き受けることで、人の時間を本来やるべきことに向けられる。

次回からは、もう一つの主役であるNotebookLMの実践に入る。自社の資料を「答えるAI」に変える使い方を取り上げる。

GeminiやNotebookLMの導入を、現場の隣で一緒に考えてほしい経営者の方は、トレジャーフットAIに一度声をかけてみてほしい。

▶ トレジャーフットAIに相談する
https://treasurefoot.jp/

活動の日々

BLOG

PAGE TOP