佐賀 AI研修 実績レポート|バルーナーズDAOで実施した生成AIワークショップ60分の全記録

生成AIの研修で最初に起こすべきなのは、理解ではなく「あ、これ使ってみたい」という気持ちの変化です。2026年7月、佐賀バルーナーズ公式コミュニティ「バルーナーズDAO」のみなさんに向けて実施した60分のワークショップは、その一点に絞って設計しました。
8月22日・23日にSAGAアリーナで開かれる「SAGAものスゴフェスタ12」に向けた事前ワークショップです。当日扱った内容をすべて書き残します。「AI研修、何から始めればいいのか」と考えている企業・自治体の方にも、そのまま持ち帰れる内容だと思います。
ゴールは「知る」ではなく「使ってみたい」

セミナーのタイトルは、こうでした。
「生成AIを、バルーナーズDAOの新しいチームメイトに。」
サブタイトルは「『好き』という気持ちを、アイデアと行動に変える60分」。
掲げたゴールは、AIを「知る」より「使ってみたい」と思える60分にすること。研修でありがちなのは情報量で勝負してしまうことです。今回はそこを外し、終わったあとに自分で触りたくなる状態をつくることに設計を寄せました。
持ち帰ってほしいこととして最初に共有したのが3つ。生成AIは難しいものではないと感じること。バルーナーズDAOで使える場面をイメージできること。楽しく体験しながら、明日から試せるヒントを持ち帰ること。
流れは5つ。生成AIとは何か。笑えて使えるAIデモ。DAO企画づくりミニワーク。安全に使うためのポイント。まとめ。スライド下部にはこう添えました。「初心者も経験者も、一緒に楽しめる内容です」。
タイムテーブルは、18時から19時がワークショップ、19時から19時半が質疑応答です。
登壇したのは、トレジャーフット九州支店 支店長代理 西嶋 淳郎

ヤマトカンキョウ株式会社 経営戦略部長、日本DX推進協会アンバサダー。肩書きより先に伝えたのは役割でした。事業課題の前捌き専門DX・経営伴走パートナーとして、戦略と現場の間に入り、止まっている課題を「動く形」にすること。
キャリアは現場起点です。PCの販売・修理から始まり、28歳で赤字子会社に取締役として参画し約2年で損益プラスマイナスゼロまで立て直し、30歳で自動車会社を立ち上げ3年で年商3億・15名体制へ。現在は経営戦略部長・DX顧問として複数社を伴走支援しています。現場から経営まで一気通貫で15年以上、提案される側と実行する側の両方を経験してきました。
提供価値として挙げたのは4つ。経営者の抽象的な課題感を論点整理できること。人・業務・ITの現場制約を踏まえた現実解を描けること。推進フェーズでプロジェクトを止めないこと。コンサルタントの意思決定・提案を現場で補完できること。
生成AIって何? 先生ではなく、チームメイトです

最初のスライドで示したのは、たった一つの捉え直しでした。
生成AIは、何でも知っている先生ではありません。一緒に考えるチームメイトです。
黒板の前に立つ先生のイラストから、机を囲んで話し合う人たちのイラストへ。矢印一本で、教える存在から、一緒に考える存在へ。生成AIは、たくさん案を出してくれる新しいチームメイトなのだと伝えました。
特徴は3つ。速い。短時間でたくさんの案を出せます。広がる。一人では思いつかない切り口が見つかります。会話で育つ。追加でお願いすると、案をどんどん磨けます。
そして、スライドの一番下に置いた一行がこれです。
最後に判断するのは人間。生成AIは、正解を保証する存在ではない。
ここを先に共有しておくと、このあと出てくる案が「そのまま使うもの」ではなく「たたき台」として扱われるようになります。
生成AIでできる3つのこと。考える、つくる、整理する

用途は3つに整理しました。
考える。企画案を出す、改善案を考える、質問項目をつくる。
つくる。SNS投稿をつくる、キャッチコピーを書く、画像のアイデアを出す。
整理する。議事録をまとめる、意見を分類する、やることを整理する。
ひとことで言えば、発想の壁打ち、文章作成、運営支援に強い。「AIで何ができますか」は抽象的すぎて答えにくい質問ですが、この3分類に落とすと、自分の仕事のどこに当てはまるかが一気に見えてきます。中小企業の現場でも、まず効くのはこの3つです。
笑えて使えるAIデモを3本。ここで空気が変わりました


座学で終わらせないために、バルーナーズDAOの文脈そのままのデモを3本用意しました。
デモ1は「DAO発・アリーナ新フードを開発せよ」。企画、ネーミング、告知文まで一気に考えます。AIに出したお題は5つ。佐賀らしさがある。片手で食べやすい。SNSに載せたくなる。子どもから大人まで楽しめる。少しクスッと笑える名前。
返ってきたのが、ブザービーター佐賀牛バーガー。スリーポイント海苔巻き。タイムアウトたこ焼き。勝利を呼ぶバルたまサンド。商品企画、ネーミング、人気投票、SNS告知に、そのまま持ち込めます。
デモ2は「もしも、あなたがバルーナーズの選手だったら?」。性格や特徴から、架空の選手プロフィールをつくります。入力するのは、得意なこと、性格、チームでの役割、ついしてしまう癖、好きな食べ物の5つ。

出てきたのは、ニックネームが「しゃべる第6の男」。得意技は「タイムアウト中に空気を明るくする」。キャッチコピーは「得点ゼロでも、声量はチーム最多」。ファンから愛される理由は「みんなを前向きにする」。自己紹介、強み発見、メンバー紹介、交流のきっかけに使えます。
デモ3は「AIに無茶ぶり広報担当をさせる」。同じイベントを、相手に合わせて書き分けます。設定した相手は、高校生、保護者、コアファン、佐賀に来たばかりの人、そして頑固なおじさん。

出力のひとつがこれでした。「ルールが分からなくても大丈夫。会場の熱気と唐揚げのうまさは、すぐ伝わります。」
デモに「笑える」要素を入れているのは演出のためだけではありません。笑いが起きた瞬間に、AIとの心理的な距離が一気に縮まるからです。「難しそう」が「面白そう」に変わる。ここが研修でいちばん効く転換点だと考えています。
ミニワーク。DAO発!次のホームゲームで実現したい新企画

後半は、参加者が自分で手を動かす時間です。テーマは「DAO発!次のホームゲームで実現したい新企画」。
テーマ例は4つ。新アリーナフード。初観戦者向けサービス。子ども・学生向けイベント。ファン同士が仲良くなる企画。
進め方は4ステップ。テーマを決める。AIに相談する。人間らしく修正する。30秒で発表する。
配ったテンプレートがこれです。
「あなたは佐賀バルーナーズDAOの企画メンバーです。対象者は○○、実現したいことは○○。小さく始められる企画を、企画名・目的・内容・楽しさ・準備・注意点で整理してください。」
発表で共有してもらうのは3点。企画名。面白いポイント。そして、AI案から直した部分。
この3点目が、設計上いちばんこだわったところです。AIの出力をそのまま読み上げるのではなく、自分の判断でどこを変えたのかを言葉にする。この一手間があるだけで、AIは「答えをくれる装置」ではなく「たたき台をくれる相手」として定着します。
安全に使うための3つの約束

楽しく、安心して使うために、ルールを3つ共有しました。
1つめ。個人情報や公開前の情報を入れない。氏名、住所、未公開情報、契約情報は入力しません。
2つめ。AIの回答をそのまま信じない。数字、日程、制度は必ず確認します。
3つめ。最後に決めるのは人間。本当にバルーナーズらしいか、実現できるか。ここは人が判断します。
AIは便利な提案役。責任を持って使うのは私たちです。
企業でも自治体でも、ここを曖昧にしたまま始めると、あとから使うのが怖くなって誰も触らなくなります。最初に線を引くほうが、結果的にのびのび使えます。
19時00分。まとめと、次に手渡すもの

最後のスライドで伝えたのは、この一行です。
AIに任せるのではなく、AIと一緒にバルーナーズDAOをもっと楽しくする。
DAOで使える場面として挙げたのは6つ。アイデア出し、企画づくり、会議整理、告知文作成、イベント運営、活動報告。どれもAIにしかできないものではありません。人がやればできる作業です。ただ、その時間が捻出できないから止まっている企画がある。企業でも地域活動でも、まったく同じ構図です。
生成AIは、『好き』をアイデアと行動に変える心強いチームメイト。
最後にみなさんへ投げかけた問いが、これでした。
あなたは、生成AIを使って何を実現してみたいですか?
19時からの30分は質疑応答。あわせて、SAGAものスゴフェスタ当日に子どもたちが楽しくAIを体験できるコンテンツを考える企画会議も実施しました。習ったばかりの人が、その日のうちに「教える側」として企画を考える。この切り替えが、体験を知識で終わらせない仕掛けです。
8月22日・23日、SAGAアリーナへ
SAGAものスゴフェスタ12の開催は2026年8月22日(土)から23日(日)の9時30分から16時、会場はSAGAアリーナ(佐賀県佐賀市日の出1-21-10)、主催はものスゴフェスタ実行委員会。佐賀県内最大級の、ものづくりをテーマにした集合型イベントです。
このイベント内で、公益財団法人佐賀県産業振興機構 さが産業ミライ創造ベース(RYO-FU BASE)とバルーナーズDAOがコラボするデジタル体験ワークショップが開催されます。ブース情報では「【102】デジタルスキル体験!【6歳〜15歳】」として案内され、内容は「バルたんオリジナルネームプレート&AI動画を作ろう!」、所要時間30分、1回2人、無料と記載されています。
ここで教える側に立つのが、この日参加したDAOメンバーです。
この60分から、企業と自治体が持ち帰れること
同じ設計は、社内研修にも市町村の職員向け講座にも、そのまま使えます。ゴールを「知る」ではなく「使ってみたい」に置く。題材を参加者の自分ごとに寄せる。出力ではなく「AI案から直した部分」を発表させる。安全に使うルールを最初に決める。そして、学んだことを使う次の場をセットにする。
研修は、実施した日がゴールではありません。1か月後、3か月後に本当に使われているかどうかがすべてです。だからこそ研修と伴走はセットで設計しています。
よくある質問
Q. AIに詳しい社員が一人もいなくても始められますか。
A. 始められます。今回も初心者と経験者が一緒に楽しめる内容として構成しました。必要なのは操作の暗記ではなく、やりたいことを言葉にする力です。
Q. どんな業務から手をつけるのが効果的ですか。
A. 企画案出し、告知文やSNS投稿の作成、議事録の要約と意見の分類。文章を書く仕事と情報を整理する仕事から入ると効果が見えやすくなります。
Q. 情報漏えいが心配です。
A. 入力してよい情報とそうでない情報の線引きを最初に決めることが前提です。今回も、氏名・住所・未公開情報・契約情報は入れないことをルールとして共有しました。
Q. 自治体向けでも、企業研修と内容は同じですか。
A. 考え方は同じで、題材が変わります。企業では業務プロセス、地域活動では企画や情報発信が題材になります。自分ごとの題材を選ぶことが、どちらの場合も最重要です。
まとめ
生成AIは「何でも知っている先生」ではなく「一緒に考えるチームメイト」。最後に判断するのは人間。
できることは「考える」「つくる」「整理する」の3つ。
題材を参加者の「好き」に寄せると、AIへの指示は自然と具体的になる。
「AI案から直した部分」を共有する設計にすると、AI任せにならない。
学んだことを使う次の場をセットにすると、体験が定着する。
AIに任せるのではなく、AIと一緒に。この60分で生まれた熱が、8月22日・23日のSAGAものスゴフェスタで、今度は子どもたちに手渡されます。
社内研修、地域向け講座、生成AI活用の伴走支援について、お気軽にご相談ください。現場と経営の両方から、止まっている課題を「動く形」にするお手伝いをします。
参考リンク
▼公式発表
