Grok 4.5 資料作成までこなすAIを紹介するサムネイル

Grok 4.5とは?Excelモデルまで組むAIの性能・料金・企業での使いどころ

Grok 4.5は、公式リリースノートでは2026年7月8日にxAI APIで提供開始され、公式発表記事は7月16日付で公開されたSpaceXAIの最上位モデルです。API料金は20万トークン未満の入力で100万トークンあたり入力2ドル・出力6ドル、キャッシュ入力は0.30ドルで、コンテキストは50万トークン。ただし経営として注目すべきはコーディング性能の数字そのものではありません。同じ能力が、Excelの複数シート数式モデル、PowerPointのネイティブ図形、Wordの文書作成にまで届いたことです。本記事は公式発表と公式ドキュメントをもとに、何が変わり、日本企業のどの業務に効き、どこで期待を削るべきかを整理します。

発表したのはどこで、いつだったのか

Grok 4.5を発表したのはSpaceXAIです。もとはイーロン・マスク氏が2023年に設立したxAIですが、2026年2月にSpaceXがxAIを買収し、現在はSpaceXのAI部門として発信されています。統合後の企業価値は約1.25兆ドルとPYMNTSは報じています。いまも「xAI」と表記する記事は多いものの、公式サイトの名乗りはSpaceXAI、法人としての表記はX.AI LLCです。

日付については、公式リリースノートと公式発表記事を分けて見る必要があります。公式ブログIntroducing Grok 4.5のページは7月16日付ですが、公式リリースノートでは7月8日にxAI APIでGrok 4.5が提供開始されたとされています。TechCrunchAxiosが7月8日付で報じたのは、この提供開始の段階を指すものと見るのが安全です。

マスク氏はGrok 4.5を「Opusクラスのモデルだが、より速く、トークン効率が高く、低コスト」と説明したとTechCrunchは伝えています。公式発表では「コーディング、エージェント的なタスク、そしてナレッジワークに秀でるよう作られた、SpaceXAIで最も賢いモデル」と位置づけられ、開発ツールのCursorと並行して学習させたことが明記されています。

エンジニアの道具から、事務仕事の担い手へ

これまでAIのコーディング能力は、エンジニアの生産性という文脈でしか語られてきませんでした。経営層にとっては開発部門の内輪の話に見えていたはずです。

Grok 4.5の発表はその枠を越えています。同社のコーディングエージェントであるGrok Buildの既定モデルがGrok 4.5になり、その成果物としてExcel、PowerPoint、Wordが並んだからです。Grok Buildは2026年5月25日に発表された、ターミナルから動くコーディングエージェントでした。当時の公式説明は「プロのソフトウェア開発と複雑なコーディング作業のためのコーディングエージェント兼CLI」であり、技術者以外を想定した記述はありません。それが2か月足らずでオフィス文書を組み上げる道具として説明されるようになりました。

背景には学習のさせ方の変化もあります。SpaceXはCursorの開発元Anysphereを600億ドルの株式取引で買収する合併契約を結んでおり、SEC提出書類では完了見込みは2026年第3四半期、規制当局の承認などが条件とされています。Axiosも今回のリリースをCursor買収合意後の最初の主要リリースと位置づけています。SpaceXAIはGrok 4.5をCursorと並行して学習させたと説明し、Cursor側も、コードベースやソフトウェアツールに関するユーザーのやり取りを捉えた数兆トークン規模のCursorデータが学習に含まれたと明記しています。ただし、個別ユーザーのデータがどの範囲で含まれたかは、各アカウントの契約・設定で確認する必要があります。

Excel、PowerPoint、Wordで何ができると説明されているか

Grok 4.5がExcel PowerPoint Wordの作成まで担うイメージ
Excel、PowerPoint、Wordの作成まで視野に入る

公式発表はExcelについて、ウェブでのリサーチを伴う複雑なExcelモデルを構築でき、複数シートにまたがる数式を使い、後から参照するためのメモまで残す、と説明しています。表を清書するのではなく、前提条件と計算ロジックを含んだ計算モデルをシート構成ごと組み上げる、という主張です。

PowerPointについては、ネイティブのPowerPoint図形を使って複雑な図を作り、直感的なスライド内容を設計するとされています。ここは実務上の意味が大きい部分です。画像として貼り込まれた図であれば受け取った側は手を入れられませんが、ネイティブ図形であればその場で位置も文言も直せます。Wordについては明瞭な文章を書くと記されています。

これとは別系統で、Microsoft 365向けには「Grok by SpaceXAI for Excel / Word / PowerPoint」としてアドインが提供されています。アドイン自体はMicrosoft Marketplaceから無料で追加できますが、ExcelのMarketplace表示ではSuperGrok、Heavy、Business、Enterpriseプラン向けで、使用量制限があります。Excelでは選択したセル範囲に平易な言葉で質問して、セルの参照付きの回答やグラフを得たり、言葉での指示を実際の数式に変換したりできると公式ページで説明されています(出典:Grok for ExcelMicrosoft Marketplace)。

つまり入口が2つあります。Grok Buildはファイルをゼロから作る側、アドインは既にあるファイルの中で働く側です。どちらを使うかで、必要な権限も検証の手順も変わります。

料金と、どこで使えるのか

公式ドキュメントに記載された価格は次のとおりです。

▼標準の従量課金 20万トークン未満では、入力は100万トークンあたり2.00ドル、出力は6.00ドル。同じ内容を繰り返し送る場合のキャッシュ入力は0.30ドルで、通常の入力の85%引きにあたります。

▼長文を投げる場合 コンテキストウィンドウは50万トークンありますが、20万トークン以上の長文コンテキストでは、入力4.00ドル、キャッシュ入力0.60ドル、出力12.00ドルが適用されます。長い資料をまとめて読ませる使い方では、想定より費用が膨らむ余地があるということです。

TechCrunchはAnthropicのOpus 4.7が100万トークンあたり入力5ドル・出力25ドルであるのに対し、Grok 4.5は大幅に安いと報じています。出力側で見れば4分の1以下です。処理速度は毎秒80トークンと公式は説明しています。

公式ドキュメント上の提供先は、xAI API、Grok Build、Cursor、Officeアドイン、OpenRouter、Vercel、Cloudflare、Snowflake、Databricks Mosaicなどのモデルゲートウェイです。公式発表ではGrok BuildとCursorでの期間限定無料利用も案内されましたが、Cursor側のプロモーション条件には7月21日までのものもあるため、最新の対象は利用画面で確認が必要です。発表直後はEUで提供されていないと報じられましたが、その後API ConsoleのEU提供が案内されています。

なお、Grok 4.5は料金、対象プラン、提供チャネル、プロモーション条件の変動が特に速い領域です。導入判断や予算試算では、必ずxAI公式ドキュメント、Microsoft Marketplace、CursorやGrok Buildの利用画面で最新条件を確認してください。

日本企業のどの業務に効くのか

経営企画部門の事業計画づくり

中期計画や新規事業の収支モデルは、担当者が前提条件を置き、シートを分け、数式を組む地道な作業です。この工程をAIに渡すと、担当者の仕事は「組み立てる」から「読み解いて直す」に変わります。設計の時間が検証の時間に置き換わるだけで総工数が半減するとは限りませんが、限られた時間で試せる案の数は確実に増えます。

営業・マーケティング部門の提案資料

提案書の構成案と図をネイティブ図形で受け取れれば、営業担当が客先訪問の直前に自分で数字や文言を差し替えられます。社内デザイナーや外注の待ち時間が消えるのはここです。一方で、コーポレートカラーや書体といった体裁の統一は人が最後に整える必要があります。

情報システム部門のレガシー資産の棚卸し

50万トークンというコンテキストは、数万行規模の既存コードや長大なVBAマクロをまとめて読ませられる分量です。業務部門が10年かけて増築し、作った人が退職して誰も触れなくなったExcelマクロ。日本企業に極めて多いこの資産を、仕様書の形に起こし直す用途は現実的です。移行そのものより、まず中身が読める状態にすることに価値があります。

管理部門の定型文書と月次レポート

規程改定、議事録、月次の実績報告。Officeアドインなら既存ファイルを開いたまま処理でき、業務の流れを変えずに済みます。導入の摩擦が最も小さく、最初の成功体験を作る場所として適しています。

いずれの場面でも共通するのは、AIが出したものをそのまま提出する運用にはできないという点です。作る時間は縮み、確かめる時間は残る。その差引が正味の効果になります。

導入と検証をどう進めるか

意思決定者が明日から動かせる順序は、おおむね次のようになります。

・利用できる無料・プロモーション枠があれば使い、Grok BuildとCursorで小規模に試す

・評価指標を「作れたかどうか」ではなく「検証込みの所要時間」に置く

・生成物を承認する検証責任者を業務ごとに指名する

・実データを投入する前に、入力データの保持期間と学習利用の方針を確認する

・トークン消費の上限を設定する。エージェントは自動で試行錯誤するため消費量が読みにくい

・判断は四半期単位にする。モデルの更新サイクルが速く、長期契約の前提が変わりやすい

最初の指標設計を誤ると評価が空回りします。生成の速さだけを測れば、どのモデルでも良い数字が出るからです。人が手直しせずに通った割合と、そこに至るまでのトークン費用を揃えて初めて、投資判断に使える数字になります。

期待をどこで削るべきか

Grok 4.5で作る時間は短縮されても確認責任は人に残るイメージ
作る時間は短縮できても、確認責任は人に残る

公式が公開したベンチマークは、全勝を示すものではありません。SWE Marathonでは29.0%の解決率で首位に立ち、Opus 4.8(max)の26.0%、Fable(max)の24.0%を上回っています。一方でSWE Bench Proでは64.7%にとどまり、Fable(max)の80.4%、Opus 4.8(max)の69.2%を下回りました。DeepSWE 1.1では53%で、Fable(max)の70%やGPT 5.5(xhigh)の67%に届いていません。得意領域がはっきり分かれるモデルだと読むべきでしょう。

評価条件にも注意が要ります。これらの評価はDatacurveが作成し、各社の実行環境で走らせたものだと公式は注記しており、競合の数値は各社の公開資料からの引用とされています。同一条件の横並びとは言い切れず、比較表は7月8日時点のもので、その後に登場したモデルは含まれていません。

トークン効率の主張も条件付きです。公式は主要モデルの2倍のトークン効率としていますが、根拠として示されているのはSWE Bench Proでのタスク解決時の平均出力トークンが15,954で、Opus 4.8(max)の67,020の約4.2分の1という数字です。特定のベンチマークにおける出力トークン量の比較であって、あらゆる業務で費用が半分になるという意味ではありません。

運用面ではデータの扱いを確認する必要があります。公式FAQでは、API入力・出力は明示的な許可なしに学習利用されず、標準では監査目的で30日間暗号化保存されると説明されています。機微情報を扱う前に、ZDRの可否、監査ログ、契約条件、Grok Buildの保持設定を確認してください。

そして最も重要なのが検証責任です。Excelの数式は、通ることと正しいことが別物です。参照範囲が1行ずれていても計算は成立します。決算や投資判断に使う数字であれば、生成された数式を人が追う工程は省けません。AIをデジタルの業務担当者と呼ぶのは比喩としては便利ですが、担当者と違って結果の責任は取れない、という一点だけは動きません。

よくある質問

Q. Grok 4.5はいつ発表されましたか。 A. 公式リリースノートでは2026年7月8日にxAI APIで提供開始され、公式発表記事は7月16日付です。TechCrunchやAxiosが7月8日付で報じたのは、提供開始の段階を指すものと見るのが安全です。

Q. 開発元の正式な社名はどう書けばよいですか。 A. 現在の名乗りはSpaceXAIです。2026年2月にSpaceXがxAIを買収し、SpaceXのAI部門となりました。法人としての表記はX.AI LLCで、旧称のxAIを使っている記事もまだ多く見られます。

Q. 料金はいくらですか。 A. 20万トークン未満では100万トークンあたり入力2.00ドル、出力6.00ドル、キャッシュ入力0.30ドルです。20万トークン以上の長文コンテキストでは入力4.00ドル、出力12.00ドル、キャッシュ入力0.60ドルです。

Q. Grok Buildとは何ですか。 A. SpaceXAIが2026年5月25日に発表した、ターミナルから動くコーディングエージェントです。当初はSuperGrokとX Premium Plusの加入者向けに早期ベータ提供され、現在はAPIキーでの利用も案内されています。7月15日にはオープンソース化されました。現在はGrok 4.5が既定モデルとなり、Excelなどのオフィス文書の作成も担うと説明されています。

Q. ExcelやPowerPointのファイルをそのまま受け取れますか。 A. 公式発表は複数シートの数式モデルやネイティブ図形での作図ができると説明しています。ただし業務要件を満たす完成品が一度で出るとは書かれていません。叩き台を得る手段と考え、確認工程を前提に運用してください。

Q. 競合モデルと比べて性能は上ですか。 A. ベンチマークによります。SWE Marathonでは首位でしたが、SWE Bench ProやDeepSWE 1.1ではFable(max)などを下回りました。速度と価格を含めた総合的な費用対効果が強みで、絶対性能で全方位に勝つモデルではありません。

Q. 日本企業がすぐ業務に使えますか。 A. API、Cursor、Grok Buildなどから技術的には利用できます。API入力・出力は明示的な許可なしに学習利用されず、標準では監査目的で30日間暗号化保存されます。機微情報を扱う業務に広げる前に、ZDRの可否、監査ログ、契約条件、Grok Buildの保持設定を確認してください。

まとめ

Grok 4.5の要点は、性能表の順位ではなくAIのコーディング能力が向かう先が変わったことにあります。同じ技術がExcelの数式モデルやPowerPointの図形を組み上げる方向に伸び、開発部門の話だったものがホワイトカラー業務全般の話になりました。入力2ドル・出力6ドルという価格も、日常業務で回し続ける前提の設計だと読めます。

とはいえ、これは万能の担当者が手に入ったという話ではありません。作る時間は確実に縮む一方で、確かめる時間は人の側に残り続けます。データ保持や学習利用、Grok Buildの設定も確認したうえで、低リスクな業務から検証する姿勢が必要です。

次に打つ一手は、部門横断の大きな導入計画ではありません。確認工数が最も積み上がっている業務を1つ選び、無料・プロモーション枠が使える場合はその間に、なければ少額の上限を置いて検証込みの所要時間を測ることです。その数字が出れば、投資判断は自ずと決まります。

Excelモデルや提案資料づくりにAIを使えるか、自社業務で試したい場合は、地域企業のAI導入を伴走するトレジャーフットAIにご相談ください。無料相談では、現場で確認工数がかかっている業務を一緒に洗い出し、最初の検証テーマまで絞り込みます。

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